浄林寺(足利市)概要: 佛光山浄林寺は栃木県足利市五十部町に境内を構えている臨済宗建長寺派の寺院です。浄林寺の離れは天保3年(1832)に当時の丹南藩(大阪府松原市丹南)の出張陣屋である五十部陣屋の代官岡田立助の勧めで住職の隠居所として建てられたと伝えられています。岡田氏は中世以来の土豪でその後は当地の有力者として丹南藩主高木家に従い、飛地である足利郡4カ村を統治する五十部陣屋の代官を歴任しました。
岡田立助は文化人としても知られ各地の知識人達とも交流を重ね当時蛮社の獄など幕府の危険人物だった渡辺崋山(田原藩:愛知県田原市、家老、幕府の外交批判した「慎機論」が見つかり蟄居となり、後に切腹)も交友関係があったそうです。その為、浄林寺の離れは渡辺崋山をかくまう為に建てられたとも云われています。実際、建物内部には隠れ座敷など複雑な構成になっていたなどから「カラクリ屋敷」の異名があり伝承として伝わったのかも知れません。その後は、明治から昭和にかけて三重村役場の施設として利用され、最近までは民家だったそうです。
浄林寺離れは木造2階建、入母屋、茅葺、桁行6間、梁間4間、内部は1階(床面積:83.03u)正面右側が土間と板の間、左側は6帖2間と4.5帖が1間、それを囲むように縁が廻り、2階(床面積:34.10u)は4.5帖2間と板の間で構成されています。浄林寺の離れは江戸時代に建てられた古建築物で時代背景や由来などから貴重な存在とされ昭和61年(1986)に足利市指定有形文化財に指定されています。山号:佛光山。宗派:臨済宗建長寺派。
|