旧濱田庄司邸(益子町)概要: 旧濱田庄司邸は、江戸時代後期に市貝町市塙に上層農家として建てられ、その後茂木町下菅又に移築され、昭和5年(1930)に濱田庄司氏が居宅として購入した建物です。建物は、木造平屋建て、寄棟、茅葺、平入、桁行23.394m、梁間11.692m、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ、座敷には床の間や出書院が設けられるなど格式の高い意匠、内部の土間は陶芸の作業場として利用されました。旧濱田庄司邸は江戸時代後期の農家上層建築の遺構として貴重な事から平成元年(1989)に益子町指定文化財に指定されています。現在は陶芸メッセ益子内に移築保存され一般公開されています。
濱田庄司は昭和時代を代表する日本の陶芸家で東京高等工業学校(現東京工業大学)で窯業を学び、卒業後は京都市立陶芸試験場で釉薬の研究を行い、イギリス留学後に益子町に移り住み本格的な陶芸を行いました。昭和30年(1955)にはその功績と技術が評価され、第1回重要無形文化財「工芸技術部門陶芸民芸陶器」保持者に認定、所謂「人間国宝」となっています。その後も、昭和39年(1964)には紫綬褒章、昭和43年(1968)には文化勲章を受章するなど陶芸家の第一人者として陶芸界に大きく貢献しました。当住宅は建築的な文化財であると共に、濱田庄司の居宅としても大きな意味があるとされます。
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