乙女の滝(板室温泉)概要: 乙女の滝は白笹山を源流とする沢名川沿いの板室温泉に程近い所にある滝で、高さ約10m、幅約5mあります。滝の名前の由来は、滝の姿が若い女性の髪に似ていることや、滝壺で髪を洗っている女性の足が人魚のようだったなどのから付けられています。周囲は整備されていて駐車場や遊歩道があり滝壺近くまで降りていく事が出来ます。
又、沢名川上流にある沼ッ原湿原に次のような伝説が残っています。昔、太郎兵衛と呼ばれる呉服店の主がいましたが、本人以外の親族は皆死んでしまい1人で店を営んでいしました。ある夜、綺麗な女性が訪ねてきて、道に迷ったので一晩部屋を貸して欲しいと嘆願され、太郎兵衛は快く引き受けました。しかし、女性は理由を付け部屋に留り何時しか店を手伝うようにもなり、さらには太郎兵衛の女房となって子供を宿してしましました。
出産の際、女房は部屋に篭り、決してこの部屋を開けてはいけないと告げましたが、幾ら経っても出てこなかったので太郎兵衛はしびれを切らし、そっと襖を開けて見ると、大きな大蛇が赤坊を愛しそうに舐めていました。話を聞くとその女房は沼原という沼の主で、沼の水が干上がった為、この家に来、姿を見られたので戻らなければいけない事を告げました。女房は片目から目玉を取り出し、この目玉を赤坊に舐めさせると元気に育つ事を伝えると姿を消し、太郎兵衛は1人で育てる事になりました。
赤坊は暫くの間は順調に育っていましたが、ある日を境に大きくならなくなり、困った太郎兵衛は沼原のあった湿原に行き、大きな岩に腰掛けて女房を呼び続けました。すると、大きな大蛇が姿を現し、もう片方の目玉を取り出すと、2つの目玉を交互に舐めさせると大きく育つ事を告げ再び姿を消しました。そう、この盲目で足が人魚のような女性こそが沼原の主(大蛇)で乙女の滝で髪を洗っていたとされます。
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