岩船山概要: 岩船山は標高173mの低山ながら 独特の山容と切立った岩肌が露出している事などから古代自然崇拝の対象として信仰されてきました。人は死んだら魂になり、その魂は岩船山の山頂に集まるといった民俗的信仰が長く信じられ、恐山(青森県むつ市下北半島)などと共に民俗学的にも注目されています。山頂付近には高勝寺が宝亀元年(770)に創建、伝承によると大山寺(鳥取県大山町)の僧である明願にある夜、霊夢で「下野国岩船山の山頂に生身の地蔵尊がいるので是非会いなさい。」との御告げがありました。明願は岩船山の中腹に住んでいた伊賀坊と出会い功徳を積んだ者が18日と24日に山頂へ登れば地蔵尊を見る事が出来ると教えてもらいました。
明願は伊賀坊と共に村々を回り困っている住民達の手助けをしながら功徳を積み、その日を迎えると終に生きている地蔵尊に遭う事が出来たそうです。翌年、明願が再び岩船山を訪れると伊賀坊の姿が無く、初めて出会った場所には伊賀坊に良く似た地蔵尊像が安置されていた事から、伊賀坊こそが生きた地蔵尊だった事を悟り高勝寺を創建しその地蔵尊を本尊として祀ったと伝えられています。
この故事から岩船山高勝寺を日本三大地蔵(岩船山高勝寺の他に木之本地蔵院:滋賀県長浜市木之本町・猿羽根山地蔵尊:山形県舟形町)と呼ぶようになりり関東の一大霊場として信仰を集めています。又、岩船山から産出される岩舟石(安山岩質角礫凝灰岩)は土木資材として利用され特に渡良瀬川の河川改良工事でも採用されています。
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