板室温泉神社(那須塩原市)概要: 板室温泉神社は栃木県那須塩原市板室876番に鎮座している神社です。板室温泉神社の創建は寛文2年(1662)、那須温泉神社(栃木県那須町)の祭神である大己貴命、少彦名命の分霊を勧請したのが始まりとされます。ただし、板室温泉の開湯は伝承では平安時代まで遡る為、温泉の守護神としての存在は既にあったとも考えられます。当時は黒羽藩(藩庁:黒羽城)領でしたが大田原藩(藩庁:大田原城)歴代藩主が庇護し弘化3年(1846)には11代藩主大田原愛清が石灯籠を寄進しています。
又、板室の鎮守として住民だけでなく湯治客からも信仰の対象となり、杖をついて板室温泉まで湯治に訪れ、温泉の効果で病気や怪我が平癒し杖が要らなくなった場合は杖を神社に奉納したという風習があったそうです。境内はさほど広くはありませんが「身代わり悪病神叩き出しの像」や石灯籠、地蔵、石祠、拝殿(切妻、平入、鉄板葺、桁行5間、梁間1.5間)などがあり信仰が篤かった事がわかります。
特に板室温泉神社拝殿には那須温泉が舞台の1つになった九尾の狐伝説(九尾の狐が絶世の美女とされる玉藻前に姿を変え朝廷に入り込み悪事を働いた。数万の兵により那須温泉まで追い込まれ最後は殺生石に封じ込められた。)に因んだ絵馬が奉納されています。
板室温泉神社本殿は文政10年(1827)に再建されたもので、当時の板室温泉の有力者である柏屋治右衛門・大黒屋利兵衛・江戸屋藤右衛門の3氏が寄進しています。建物は一間社流造、木羽葺、間口4尺5寸(133p)、奥行4尺(121p)で、向拝欄間には龍、木鼻には獅子、象、柱には松竹梅、扉以外の壁面にも精緻な彫刻が施されています。板室温泉神社本殿は江戸時代後期に建てられた神社本殿建築の遺構として貴重で意匠や技術等も優れているこから昭和44年(1969)に那須塩原市指定文化財に指定されています。例祭は毎年10月8日に行われ参拝者には甘酒が振る舞われます。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-那須塩原市教育委員会
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