三重塔(西明寺)概要: 西明寺三重塔は高館城の城主益子家宗が大旦那として建立された三間三重塔婆で、室町時代の天文元年(1532)に着工、天文12年(1543)に竣工、伏鉢には「天文七歳二月吉日」の銘が刻まれている事から建築年が明確に判っています(天文7年は西暦1539年)。屋根は宝形、銅板葺き、初層柱間3.118m、2層柱間2.778m、3層柱間2.332m、総高17.932m、内部には来迎柱、来迎壁が設けられ、その中心に須弥壇が設置、本尊である釈迦三尊が安置、室町時代後期に建立された三重塔の遺構として大変貴重な事から昭和25年(1950)に国重要文化財に指定されています。
益子家宗は天正7年(1579)、父親である益子安宗が主家宇都宮家からの独立を図った事を受け家臣達から幽閉され、それに伴い家督を継いだ為、三重塔の建築年代と合致せず、益子勝清又は勝宗の時代と考えられます。又、関東甲信越四古塔の1つとされますが、残りの3古塔は良く判らなかった為、個人的に関東甲信越の三重塔の建築年代を調べると安楽寺(長野県上田市)が1290年代、大法寺(長野県青木村)が正慶2年(1333)、旧 燈明寺(神奈川県横浜市・三渓園)が康正3年(1457)、小山寺(茨城県桜川市)が寛正6年(1465)、信濃国分寺(長野県上田市)が室町時代中期、前山寺(長野県上田市)が永正11年(1514)、新海三社神社(長野県佐久市)が永正12年(1515)と西明寺三重塔を建築年で上回る古塔が7塔もあり、関東甲信越四古塔は単純に建築年代が古い順番ではないようです。
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