長源寺(那須町伊王野)概要: 桃林山長源寺は栃木県那須郡那須町伊王野に境内を構えている曹洞宗の寺院です。長源寺の前身とされる甘露寺の創建年は判りませんでしたが、室町時代後期の弘治元年(1555)に当時の領主伊王野資直が中興開基となり寺基を現在地に遷し、寺号を長源寺に改称しました。長源寺は資直以降の伊王野氏の菩提寺で、資直も晩年出家した際には法名として「長元」を名乗っている事からも関係性が窺えます。戦国時代の伊王野氏は1万数千石を領し、当地方では本家筋の那須氏に次ぐ勢力だった為、長源寺はその力を背景し大きく遇されたと推察されます。
しかし、伊王野氏は天正18年(1590)の小田原の役で豊臣方への参陣が遅れた為、大きく石高を減らし没落寸前に追い込まれています。慶長5年(1600)の関ケ原の戦いでは西軍の主力である会津鶴ヶ城(福島県会津若松市)の城主上杉景勝を関山にて牽制に成功した功により2千石が加増され大身旗本として復権を果たすも寛永10年(1633)に伊王野資房に跡継ぎがなく死去した事から断絶しています。その後の長源寺は大旦那が失われた事で大きな発展には至らなかったようです。
長源寺山門は切妻、銅瓦棒葺き、一間一戸、薬医門。本堂は木造平屋建て、入母屋、桟瓦葺き、平入、桁行8間、正面1間唐破風向拝付き(屋根:銅板葺き)、外壁は真壁造り白漆喰仕上げ正面花頭窓付。境内背後には伊王野氏一族の五輪塔が数基(安山岩の五輪塔4基・自然石碑3基)残されており、「伊王野氏新墳墓」として那須町指定史跡に指定されています。又、境内背後には伊王野氏の山城(伊王野城)、前面は清い池が広がっている事から風致に富んだ景観が生み出されています。山号:桃林山。宗派:曹洞宗。本尊:釈迦牟尼仏。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板-那須町教育委員会
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