実相院(大田原市)概要: 月江山実相院は栃木県大田原市佐久山に境内を構えている曹洞宗の寺院です。実相院の創建は永享年間(1390〜1440年)に福原氏の娘が実相庵という尼寺を開いたことが始まりとされます。永禄11年(1568)に福原家累代の菩提寺になると福原氏から庇護され寺領の寄進や堂宇の造営などを行いました。特に正徳年間(1711〜1716年)に造営された山門は当時の領主福原資倍の夫人(播州山崎城主本多肥後守忠英の娘)が寄進しています。文化5年(1808)に火災で山門を残し多くの記録や寺宝と同時に堂宇が焼失し、文政4年(1821)に現在の本堂が再建されました。
実相院山門は正徳年間(1711〜1716年)に造営されたもので、四脚門形式、切妻、矢板平野産石瓦葺き、一間一戸、木部朱塗り、本多家の家紋と福原家の家紋が掲げられ、江戸時代中期の寺院山門建築の遺構として貴重な事から昭和41年(1966)に大田原市指定有形文化財に指定されています。実相院本堂は江戸時代後期の文政4年(1821)に造営されたもので、木造平屋建て、入母屋、銅瓦棒葺、桁行9間、外壁は真壁造白漆喰仕上げ、外壁中央には「実相院」の山号額、内部には本尊となる施無畏観音像が安置されています。境内には福原家累代の墓所(※1)があり昭和47年(1972)に大田原指定史跡に指定されています。
又、赤穂義士で討ち入りを果たした大高源五・幸右衛門の遺髪を葬った墓が建立されています(親戚筋だった佐久山大高家に母親が身を寄せ尼となって2人を供養したと伝えられています)。宗派:曹洞宗。本尊:施無畏観音。山号:月江山。寺号:慈雲寺。院号:実相院。那須三十三観音霊場第18番札所(札所本尊:施無畏観音・御詠歌:憎愛の しがらみ出でて 行けぞかし 観音の御手に 身をぞ托して)。
補足
(※1)福原家累代の墓所−福原家の菩提寺は当初永興寺であった為、久隆から資郡までが当寺に改葬され、江戸の菩提寺である浅草曹源寺から資宣・資明・資克・資順のものが改葬されています。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(由来)-月江山実相院
・ 現地案内板(山門)-大田原市教育委員会
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