尾出山神社(鹿沼市)概要: 尾出山神社は栃木県鹿沼市上永野宮原に鎮座している神社です。尾出山(標高:933m)は勝道上人(日光山に登頂し三社権現:千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音を開山)が開いたという信仰の山でかつては修験者の修行の場だったとされます。尾出山神社は"尾出山"を御神体とする神社で山口集落の鎮守として古くから信仰されてきました。
創建年などは不詳ですが寛政12年(1800)に編纂された「下野神名帳」によると正一位尾出山大明神との記載があり、明治35年(1902)に編纂された「下野神社沿革誌」によると安土桃山時代の天正7年(1579)に木椀が奉納、天正8年(1580)に社殿が造営、天保5年(1834)に石獅子2基が奉納された事が記載されている事から少なくとも室町時代以前から鎮座していた事は確実で尾出山を冠とする神社である事から遥か以前から存在したのかも知れません。又、境内には天保5年(1834)に植竹七兵衛が奉納した狛犬などがあり古社の雰囲気が感じられます。
鳥居を潜り石段を登ると大型の神社山門(神門)がありその奥に覆屋に囲まれた極彩色豊かな流造りの本殿が鎮座しています。神社山門は楼門の長床形式で寄棟、鉄板葺、平入、桁行5間、梁間2間、外壁は真壁造り板張り、上層部は素木、下層部は腐朽防止の為着色、上層部左右には採光を採る為と思われる開口部、中央入口上部には謎の格子、背後に控える本殿よりも規模が大きく異彩を放っています。本殿は一間社流造、檜皮葺。
例祭(毎年10月10日に近い日曜日)である尾出山神社関白流獅子舞は、「初庭、中庭、三の庭」の演目と「庭見、花カゴまわり、弓くぐり」の舞があり関白流を名乗る一人立三匹の風流系獅子舞として古くからの伝統を継承されています。この獅子舞の解説を記載された巻物は文久2年(1826)に編纂されたもので、歴史性が感じられます。尾出山神社関白流獅子舞は古式を伝える民俗芸能として貴重な事から昭和45年(1970)に鹿沼市指定無形民俗文化財に指定されています。祭神は元々は尾出山~、明治時代の神仏分離令後は大己貴命(日光三山:男体山の祭神で父神)・田心姫~(日光三山:女体山の祭神で母神)・味耜高彦根命(日光三山:太郎山の祭神で御子神)が祭られています。
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