立木観音(中禅寺)概要: 日光山中禅寺は栃木県日光市中宮祠に境内を構えている天台宗の寺院です。 立木観音(中禅寺)の創建は奈良時代の延暦3年(784)勝道上人が二荒山神社中宮祠の西隣に堂宇を建立したのが始まりと伝えられています。記録的には康治元年(1141)に藤原敦光により編纂された「中禅寺私記」により明らかで少なくともこれ以前から存在していたと思われます。正和4年(1315)に仁澄が再興し境内の整備が進められ多くの堂宇が建立されました。中禅寺は麓の日光山内に境内を構えている輪王寺の別院でもあり強い繋がりがありました。
中禅寺は二荒山神社中宮祠とは古くから神仏混合で本尊の十一面千手観音菩薩は二荒山神社の御神体でもある男体山の本地仏とされ江戸時代を通し繁栄しましたが明治時代初頭に発令された神仏分離令により寺院として独立しています。明治35年(1902)男体山からの山津波により境内全体が中禅寺湖に押し出され一時荒廃しましたが大正2年(1913)に現在地に再建され多くの堂宇が随時造営されました。
中禅寺の本尊である十一面千手観音菩薩(藤原時代の制作、像高4.85m、寄木造、カツラ材、中禅寺湖に流された際、湖底から引き上げられた。)は勝道上人が自ら彫り込んだものとされ大変貴重な事から昭和25年(1950)に国指定重要文化財に指定されるともに坂東三十三観音霊場第十八番札所でもあり信仰を集めています。山門は入母屋、銅瓦棒葺き、三間一戸、桁行3間、張間2間、八脚楼門、上層部には高欄、花頭窓、「中禅寺」の寺号額付、下層部左右には仁王像安置、外壁は真壁造り板張り木部朱塗り。
中禅寺本堂(立木観音堂)は木造平屋建て、宝形造、銅瓦棒葺き、桁行11.3m、梁間11.3m、外壁は真壁造り板張り木部朱塗り、内部には本尊である十一面千手観音菩薩の他、脇侍として源頼義が寄進したと伝わる四天王像等が安置されています。坂東三十三観音霊場第18番札所(札所本尊:十一面千手観音菩薩・御詠歌:中禅寺 のぼりて拝む みずうみの うたの浜路に たつは白波)。下野七福神:大黒天。山号:日光山。宗派:天台宗。本尊:十一面千手観音菩薩。
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